『機動戦士ガンダムΖΖ』メカニカル作画監督——内田順久
前作『機動戦士Ζガンダム』から、引き続き『機動戦士ガンダムΖΖ』のメカニカル作画監督として参加した内田順久氏に、本誌2025年春号の『機動戦士Ζガンダム』特集に続いてお話を伺った。直接的な続編でありながら、明るく変化した作品の方向性に現場は戸惑いを隠せなかったという。だが、エピソードが進むに連れ、『ガンダム』らしさは際立っていった。はたして当時の現場の雰囲気とは?その舞台裏をお聞きした。
**方向性の転換と現場の戸惑い
——『機動戦士ガンダムΖΖ』(以下:『ガンダムΖΖ』)には、『機動戦士Ζガンダム』(以下:『Ζガンダム』)からそのままスライドする形で参加されたのですか?
内田 そうですね。スタッフの土台的には『Ζガンダム』と同じメンバーで、物語も基本的には延長線上でした。
ただ、その中で大きく変わった部分というのは、『Ζガンダム』は作品内容が「ちょっと重くなりすぎてしまった」という評価があり、視聴率も含めてあまり芳しくはなかったようです。当時、視聴率は作品を評価する上で重要な指標だったので、やっぱり低迷した部分があったと思うんです。
——『ガンダムΖΖ』は、それゆえに、より明るく、またより低年齢層向けに作品が方向転換されたというのは、よく知られた話です。
内田 それもあって『ガンダムΖΖ』では富野由悠季監督から「変形でも合体でもなんでもやる」という方向性でアプローチされたんです。ある意味、スーパーロボット的な描写も辞さないということで。ただ現場のスタッフの立場としては、正直困惑したという意識はありました。
——同じシリーズの延長線上にありながら、ガラッと雰囲気が変わりましたから、ファンにも戸惑いはありましたね。現場はなおさらかもしれませんね。
内田 やっぱり『Ζガンダム』でモビルスーツ(MS)のメカアクションの一つの表現の方法が見えてきた部分があって、その後でまた『戦闘メカ ザブングル』や『重戦機エルガイム』の方向に戻ったような方法論になって、みんなで「結構困ったね」みたいな雰囲気になりましたね。
でもノリ的には「明るいガンダム」ではありますが、根幹的にはそんなに大きく変わっていないんですよ。ただ作品全体としてコミカルなシーンをベースとして入れますので、その流れの中にポイント·ポイントでメカシーンが入った際に、コミカルなシーンとの繋がりから戦闘になってしまうんです。これは作画していてもリズムが作りづらく、慣れない序盤はかなり困惑した部分はありました。
——一方で『Ζガンダム』から継承している部分もあるようにも見受けられます。
内田 『Ζガンダム』では最初にガンダムMk-Ⅱが主役機でしたが、Zガンダム登場以降はZガンダムを主体として、MSとしての見せ方、戦い方の構築があったわけです。『ガンダムΖΖ』では、序盤はZガンダムが主役機として登場しますが、ちょっと『Ζガンダム』と違った扱い方をされてしまったので、作品の切り替えの段階では、「非常に扱いが難しい」と感じました。作品自体は連続しているので、Zガンダム自体がコミカルになって大活躍するということではない。子供向けといってしまえばそうなんでしょうけど、現場では作品当初、ちょっと消化不良なところはありましたね。
——たしかに物語が繋がっているがゆえに、といった違和感は当時ありました。
内田 たとえばMS同士で殴りあったり、ワイヤーを足に引っかけてキャラクターが関わったり、コクピットが開いたまま戦ったり。そういうコミカル描写はあまり経験していなかったスタッフが大半だったので、皆さん大変だったと思います。
また、『機動戦士ガンダム』の時代は、コロニーの中や地上戦といった、地に足をつけた戦闘はかなり多かったのですが、『Ζガンダム』の戦闘って、基本は宇宙戦が多かったのです。でも『ガンダムΖΖ』はいきなりコロニー内の戦闘で、いってしまえば地上戦でした。その時の動かし方が、これまでに『Ζガンダム』で築いてきた方法論とは違うもので、そのギャップはありましたね。また、それに対応するために十分なスケジュールもありませんでした。
——当時のインタビュー記事などを調べてみると、『Ζガンダム』の放送中の1985年の6月か7月に、「来年どうする?」という話があったようですので、現場に降りてくるのは秋口か、場合によってはもっと後ですよね。
内田 そうですね。まあこれまでも土曜日の放送枠はヒーローロボットから始まって、『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』『重戦機エルガイム』『Ζガンダム』と、徐々にメカを意識する描写がされ「マシンとしてのMSをどう捉えるか?」ということを追求するという変化があったと思うんです。
でも『ガンダムΖΖ』では、ちょつと前の作品に戻ったような印象があったのは確かでした。最初から『戦闘メカ ザブングル』のような、作品テイストでしたらまだしも、『Ζガンダム』で築いてきた方向性とは異なっていたので、そこだけはどうしても引きずってしまう部分はありましたね。
**キャラクターの描写がコミカルさとリンクする
——確かに『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』も小型のメカが多く、キャラクターとの対比ができるシーンもあるなど、その設計からしてそれなりに違う気もします。
内田 ザブングルとガンダムではそんなに大きさは変わらないんですけど、ザブングルはもともと人物を絡める画作りが最初から想定されていましたが『ガンダムΖΖ』での同様な描写というのはあまり意識していなかったのもあって切り替えには時間がかかったと思い ます。
——さらに序盤はキャラクターも多く、絡みが多かった印象があります。
内田 『Ζガンダム』以上に『ガンダムΖΖ』はメインキャラクターの人数が多かったですね。主要キャラにジュドーの仲間たち、マシ ュマー、キャラ、グレミー、ゴットン他。序盤はキャラクターの紹介パートのニユアンスが強かったことも、コミカル展開に繋がった のかなと思います。
——キャラクター紹介にも比重を置いた見せ方は、ちょっと今までのガンダム作品とも違う感じがしますね。
内田 序盤がコミカルに感じられる印象は、キャラクターの演技の表現がマンガ的になった部分もあるでしょうね。ヤザンも面白い人になってしまいましたし。
——「あのコワモテな人が」と思いました(笑)。メカニ力ル作画監督という役職としては、どのようなアプローチが必要とされたの ですか?
内田 これは時代の違いもありますが、今のテレビアニメと当時のテレビアニメって、制作決定から準備段階のスパンがかなり違うと思います。今の作品って製作の決定がオンエアの数年前なんてのは当たり前で準備がやたら長い。『Ζガンダム』もそういう意味では制作開始前に、かなり早い段階から準備をしていましたので、今の製作に近かったかもしれません。
でも『ガンダムΖΖ』はかなり短いスパンで連続放送した作品なので、しっかりとした準備ができて、というよりは勢いで行ってしまった、という意識の方が近いですね。だから、すり合わせの時間もなかなか取りずらい状況だったかと。
サンライズ(当時)のスタジオの中で作業をする若手のメンバーが数名いて、ある程度のコンセンサスを取れるのは彼らくらいでした。外部の方とはほとんどそういう話もできず、「設定を見て描いてもらう」というだけの状態で進めざるをえなかった部分もあります。
それこそ毎週のようにアップ(締め切り)があるので、次から次へと対応しなければいけません。最近の作品のようにレイアウトチエックの時間もしっかりあり、というスタイルではなく、とにかくもう原画で上がってきてしまう、みたいな状態でした。
——その中で内田さんのような若いスタッフの方が主力として活躍されているのは時代を感じますね。当時はおいくつでした?
内田 26歳くらいだと思います。『ガンダムΖΖ』では若手の恩田尚之くんらも作監で参加してもらっていますし、若いメンバーがどんどん出てきて、力をつけていった時代だと感じていました。
**もっと見たいという爪痕を残した機体群
——MSのデザインもそれまでとはかなり印象が変わったと思いますが、そのことは作画にどう影響を与えましたか?
内田 『Ζガンダム』の時はアッシマーら変形も多かったので大変ではあったのですが、『ガンダムΖΖ』は変形が少なくなりましたね。その分ボリューム感のある機体が多くなって、トゲトゲした複雑なデザインになった印象です。今のようにきっちりとメカデザインの設定があった時代ではないので、前面と背面の設定で微妙に整合性が……なんてこともありましたし、設定画も今のように敵のMSでもパーツ単位で細かく設定があるわけではありませんでした。それこそ劇場作品であっても、「設定が足りない」なんてのは普通でしたからね(笑)。
「可動部はどうなっているんだろう?」と思っても、今の優れたプラモデルがあるわけではありませんし、アニメーターの捉え方一つでラインが変わってしまうこともよくあり、でもそれが「味?」という時代でしたからね。
今はいいですよ。カッコよくデザインを再現されたプラモデルがあって。当時あったプラモデルでは、ちょっと設定画とは雰囲気が違いましたからね。
『ガンダムΖΖ』に関しては、これまでと大きくバランスも変わって、張り出しているパーツが多いという印象がありましたね。特に背面の設定画は後ろ姿のプロポーションバランスがちょっと分かりづらかった印象があります。
特にΖΖガンダムはバックパックが大きいので、これまでの印象と違うと捉える方も多かったです。後ろ姿がSDガンダムのような二頭身風に描かれていた方もいて。もちろんそれらはリテイクになるのですが……苦手な方はかなり描きづらかったのかもしれません。
——序盤は1話だけ登場する、という機体も多かったですね。昔はそういったメカはざっくりとしたものが多かったですが、本作はゲス ト敵メカも複雑なデザインでした。
内田 そうですね。デザイナーの方は数も多いし、とても苦労してデザインされたと思うのですが、活躍の場が少ないのもちょっとショックだっただろうなと。
個人的にはバウが好きで、もっと活躍させたかったです。変形合体MSなので、ΖΖガンダムと対抗できそうじゃないですか。でも、意外に作中では「あれ、これだけ?」みたいな印象もあって。ただ、そこも昭和の子供向けアニメの流れに沿っていた部分はあったんでしょうね。
1機をじつくり何度も登場させて見せるというよりは、「新型をどんどん出す」ということで、バリエーションの面白さを出したいという意図もあったかとは思いますが。
——バウにしてもリゲルグにしても、ガルスJにしても、色々な機体が『機動戦士ガンダムUC』(以下:ガンダムUC)などの作品で再登場していますが、当時の子供たちの心残りを見事に拾ってもらった気がするくらいです(笑)。
内田 そうでしょうね。もっと見せたかったという気持ちもあったかと思いますよ。
——後半に向けてハードな展開になっていきました。ある程度ガンダム作品っぽい路線に戻したともいえるかもしれません。
内田 戦いの図式がはっきりしてくると、テンポも変わりますからね。個人的にはハマーン、グレミーが対立して、後半の話数の方が好きです。
——終盤はファンネルが使用されるエピソードも多くなりました。ガンダム作品の映像的な華のーつですが、作画的には手間がかかる ようにも見えます。
内田 ファンネルについては、面白い動きのイメージを1個ずつ描いていく感じです。ファンネルの描写を頑張ると、映像になった時に楽しいので、力が入るところですね。特に動きとしての設定があるわけではないので、それぞれ担当者が面白く描いていました。
**自由に描くことがΖΖらしさに繋がる
——ファンネルの作画に、決まりごとや指定が特になかったのは意外ですね。コンテの流れに沿っていればいいということだとは思い ますが。
内田 富野監督も『Ζガンダム』では細かい部分まで言葉で指示していましたが、『ガンダムΖΖ』は特に細かい指示も少なく、かなり緩かったんです。『Ζガンダム』の時はSF考証も設定の段階でかなり配慮していて、ストーリーの中にも盛り込まれていました。その一方で、『ガンダムΖΖ』はそういう形から一線を引いて作っていた印象があります。先ほど申し上げたように、今回は「変形でも合体でもなんでもアリ、これまでとは違う」ということでの視聴者向け意識はあったと思います。
——そういった設定的な制約を設けない、自由にやるという意識だったのでしょうか?
内田 真意はどうでしょうね?『ザブングル』から続けて富野監督の作品を現場で見てきましたけど、『ガンダムΖΖ』の制作時は、富野監督が静かだった気がします。『Ζガンダム』までは本当に毎回富野監督が怒って、とんでもないことになったことがありましたけどね(笑)。『ガンダムΖΖ』は監督と演出、アニメーターといったスタッフ間でも、実は思っていることの差がすごくあったのかもしれませんが。監督もそこは意識してあえて言わなかったのかもしれません。結果的に『Ζガンダム』の時よりも、『ガンダムΖΖ』はアクシデントのような出来事は少なかったように思います。
——すでに『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(以下:逆襲のシャア)』の準備も進められていたということも影響しているのでしょうか?
内田 北爪(宏幸)さんをはじめ、メインスタッフは『ガンダムΖΖ』の終盤には『逆襲のシャア』にある程度、移行していた部分はあると思います。でも当時のテレビアニメって、終盤にはよく、メインスタッフが次のシリーズ(新番組)に移行して、最終回近くのエピソードには関わっていないことって結構あるんですよ。ですから第46話では僕がメカ作監だけではなく、キャラ作監も担当していたくらいです。」富野監督も本来の『ガンダム』系譜の『逆襲のシャア』に意識が向いていたのかもしれませんけど。
僕自身も『逆襲のシャア』にも参加しましたが、監督の取り組む雰囲気が劇場作品ってこともあり、違いましたからね。『逆襲のシャア』は、やっぱり「ガンダムをやっているんだなー」という感じがしました。
**メカ、キャラクターをトータルで描けた第46話
——内田さん的に印象に残っているエピソードは?
内田 終盤で作画監督を担当させていただいた第46話ですね。ここではメカだけではなく、キャラクターも含めて作画監督を担当させていただきました。
メカ、キャラクターも含めて作画監督をやらせてもらったという意味でも印象に残っていますが、クィン・マンサも個人的に大好きな機体で、もうちょっと見せ場を作ってあげたかった。あれほど巨大な機体ですから、アクシズ内だけじゃなくて宇宙でも存分に活躍させたかったですね。
——グレミーとルーの絡みもありますし、どうしても内部で描かれるエピソードになったんでしょうね。
内田 そうですね。ストーリー上の流れ的にどうしようもなかったとは思いますが、もうちょっとやりたかったです。
クィン・マンサそのものではないのですが、『ガンダムUC』でクシャトリヤがバインダーを展開したり、ファンネルを使いこなしたり、色々やって見せてくれたのはよかったですね。やっぱり宇宙でのクィン・マンサのシルエットがもっと見たかったです。
——第46話のキャラクターの描写は、何が印象に残っていますか?
内田 『機動戦士ガンダム』でニュータイプの額にキラッと光る描写があるじゃないですか。コンテにはなかったのですが、その描写をジュドーの額に入れさせていただきました。やっぱり『ガンダム』でニュータイプといえば、あのキラッと光る表現ですし。このエピソードではプルツーも大きくクローズアップされているかと思います。強化人間としての危うさという意味での表現を少し出せたかと思います。
——実は『機動武闘伝Gガンダム』以前に、『ガンダム』の殻を破って方向性を広げたのは『ガンダムΖΖ』ではないか、と今回あらためて思ったんです。やはりアニメーションである以上、過度にリアルなメカ描写だけでは成立しにくいということは、現在のアニメシーンが証明していますからね。
内田 おっしゃるとおりです。『ガンダム』という作品の枠を広げた、という意味では、『ガンダムΖΖ』は意味があったとあらためて感じます。もし、リアリティー辺倒だったならばもっと『ガンダム』の世界は狭まった可能性もあったかもしれませんし。
——物語的にも、ネオ・ジオンの衰退やMSの進化など、様々なファクターで『ガンダムΖΖ』は宇宙世紀の歴史的にも外せない作品になっていると思うんですよね。
内田 そうですね。たとえばグレミーやプルツーといった存在や、MSたちにしても、後に『機動戦士ガンダムUC』で広げてもらえましたからね。今にして思えば、非常に可能性を秘めた作品だったんだなと感じたりもします。
——あらためて『ガンダムΖΖ』に参加したことを振り返ってみて、どのような思いが浮かびますか?
内田 『ガンダム』が、日本を代表する一つの大きなコンテンツになっているのがすごいですよね。
自分はその歴史の中に参加させていただいたわけですが、当時、特に『ガンダムΖΖ』の頃には、ここまですごいコンテンツになるとは想像もできなかったんです。ガンプラの勢いもすごいですし、人気を支える要因にもなっていますよね。会社がバンダイに変わる際、当時、現場のスタッフの間で「『ガンダム』は一生作っていかなきゃいけないかもね」という話が出ていましたが、まさか実際にそうなるとは思いませんでした。
今にして思えば『Ζガンダム』から『ガンダムΖΖ』というタイトルを、ほとんど準備もなく一年も作り続けたというのは、すごいことなんですよ。プロデューサーの内田(健二)さんや富野監督は、とにかく大変だったと思います。





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不好意思,想问一下官推的意思是总共4周半还是从现在23号开始是4周半?
qzt68001 发表于 2018-2-27 11:06
不好意思,想问一下官推的意思是总共4周半还是从现在23号开始是4周半?
活动开始时间算吧
zzhhdd 发表于 2018-2-27 11:45
活动开始时间算吧
这样啊,多谢啦!